【Notes Vol.1】消防設備のメンテナンス管理という仕事

コラム

私は消防設備士として働いています。…と言っても、自分で点検や改修工事を行うわけではありません。私の役割は、そういった実務を「管理する」ことです。現場の仕事は、信頼している協力会社さんにお願いしています。

私が担当している物件やお客様は何百とあり、すべての点検に毎回立ち会うことはできません。
こう聞くと、「中途半端なポジションに思える」とか、「結局あなたは何をしている人なの?」と思われるかもしれません。

実際のところ、技術的な細かい部分は現場の方のほうが詳しいですし、お客様とのやりとりも、実際に現場に入る実務部隊が中心です。

では、私の役割って一体何なんでしょうか。

私が考えるこの仕事の役割、大切にしていることは、点検から改修工事までの一連の流れを、できるだけスムーズに進めることです。

消防設備の点検は、消防法で年に2回の実施が義務づけられています。点検スケジュールの調整はもちろん、点検結果をもとに改修の必要性があれば、速やかにお客様に提案することも重要な仕事です。

古くなった建物では、当然設備も老朽化していることが多く、消防設備も劣化や損傷が進んでいるケースが見られます。いざというときにきちんと作動しなければ、設置している意味がありません。そもそも、そういった状態だと点検でも「不良」として扱われてしまいます。

消防設備というのは、日用品のように日々意識するものではありません。普段の生活の中では必要性を感じづらく、「できればお金をかけたくないな」と思われがちな存在です。

でも、だめなものはちゃんと直さなければなりません。

だからこそ、私たちは「なぜ必要なのか」をきちんと説明し、現場やお客様の状況を考慮しながら、最適な仕様と妥当なコストで改修を提案するように心がけています。

この仕事には営業的なスキルだけでなく、消防設備に関する専門知識も必要です。意外とテクニカルな役割ですよね(笑)

現場で工具を持って作業している消防設備士が“最前線の”主力”だとしたら、私のような管理担当は“いぶし銀の裏方”といったところでしょうか(笑)

私は現在、消防設備メーカーに勤務しています。メーカーだからこその強みもあります。

たとえば、自社で施工した物件なら点検や修繕提案まで一貫して対応(新築時点で提案)できますし、自社の防災システムに精通しているため、技術的なことにも対応できますし、点検の品質も高く保てます。さらに、万が一修繕が必要になったときも、自社製品であればばコストを抑えた提案が可能です。

数ある防災会社の中で、メーカーとしての強みは活かしていきたいと考えています。

また、私たちの仕事はお客様との調整だけでなく、協力会社さんとの連携も非常に重要です。

点検の結果を共有し、不備が見つかればすぐに改修の提案を行います。改修工事を受注した場合は、基本的に不備を発見してくれた協力会社さんに引き続き施工をお願いしています。

少し言い方を変えると、点検業務ってある意味“営業活動”でもあると思っています。

確実に点検を行い、不具合があればそれを正しく伝え、必要な修繕を提案する。その結果として改修工事をいただく。この一連の流れがうまくいくよう、スピーディーに対応していくことも私たちの仕事です。
※もちろん、点検結果がすべて「異常なし」であることが一番で、必要のない修繕を闇雲に提案するようなことは絶対にしません。

かつては、「やっぱり現場で働く職人さんが花形だな」と思っていましたが、こうして裏方として全体を管理し、調整していく仕事も、現場にとっては欠かせない存在なんだと実感するようになりました。

むしろ、私はこの仕事に誇りを持っていますし、きっと自分に一番向いている仕事なんじゃないかな、とも感じています。

今回は、自分自身の役割について、ふと考えることがあったので、こうして文章にしてみました。
こんなふうに、肩の力を抜いた投稿もこれから増やしていきたいと思っています。

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